『ヨハネの黙示録』
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『ヨハネの黙示録』

イントロダクション

終末について説くことには責任が伴う。じっさい『ヨハネの黙示録』においても、間違った解釈には罰が伴うことが記されている。教会史においても主流な立場だけで4通りの解釈があり、黙示録を読み解くことがいかに困難かうかがえる。しかし、私は「どうして教会の先人たちの努力にも関わらず決定的な答えが出なかったのか」がよくわかる。それは、黙示録の“性質”と結びついている。すなわち、黙示録が果たしてきた「終末預言によって聖書をとじる」という役割だ。もし、終末預言がなければ、信徒はいわばコンパスがない状態で地上生涯を歩むことになってしまう。黙示録の存在はいつの時代も信徒の希望そのものだったのである。その役割を考えたとき、これまでの時代においては確定的な黙示録の理解はなくてもなんとかなった。むしろ、「いかに黙示録を読み解くか」という聖書研究の促進にこそ意味があったと言ってもよかった。ただ、本当の終末–すなわち、“ハルマゲドン”–が迫り来る現代においては、態度を改めなければならない。『ヨハネの黙示録』は預言書でありながら書簡でもある。その事実は、「教会史が七区分になっており、現代がその最後である七区分目に位置する」ことなしには判らないことだ。実際、ホロコーストが第六区分の時代に起きた“大患難”であることを策定することなしには「黙示録は七つの教会時代宛の書簡である」ことを読み解くことはほぼ不可能である。聖書における預言が正確無比であるにも関わらず、イスラエルの民を襲ったホロコーストという大患難について語っていないはずはない。だから、その歴史的惨劇を終末預言の中心に据えた“七時代主義”は間違いなくもっとも精確な解釈である。また、この立場は「黙示録19章のキリスト再臨時に携挙が起こるはずなのに、4章以降に教会が登場しない」ことの理由に「他の書簡と同じく巻頭に宛先(としての七つの教会時代)が示されている」と応えることができる。であるから、「終末預言は未来に成就し、信徒はそれを経験しない」という立場は非常に危うい。そうではなくて、「患難は各時代に起こり、大患難はホロコーストであり、ハルマゲドンが迫っている」という観点を信徒が共有する必要がある。信徒用に準備した<Index→ヨハネの黙示録>の項をどうか確認してみていただきたい。「終末を恐れるべきではない」というのも聖書の御教えであるし、終末が近いというのは神の国が近いのと同じことだ。終末が希望でもあるというのはそのような意味だろうし、そもそも“大患難”という事象は既に起こっている。いま、私たちにできることは、信徒どうしで「私たちは救われていますね、よかった」とただ安んじるのではなく、隣人を積極的に招くことに違いない。届くべきすべての人に神の福音が届くことを願って、今日も伝道に励もう。

アウトライン

序(1:1‐19)

導入(1:1‐3)

七つの教会時代への宣言(1:4) *世界創造の七日間との符合

キリストの紹介(1:5‐7)

アルファ(1:8) *αピボット

啓示の語りはじめ(1:9‐10)

根本原理(1:11)

天での光景(1:12‐19)

第1ピボット(1:20‐3:22) *いずれも“御使い”(裁きの執行者)宛である

エペソにある教会(2:1,2:2‐7)

スルミナにある教会(2:8,2:9‐11)

ペルガモンにある教会(2:12,2:13‐17)

ティアティラにある教会(2:18,2:19‐29)

サルディスにある教会(3:1,3:2‐6)

フィラデルフィアにある教会(3:7,3:8‐13)

ラオディキアにある教会(3:14,3:15‐22)

※世界の守護者である教会が示す“七時代の型”は理論のコアである

第2ピボット(4:1‐11)

教会と四つの生き物

第3ピボット(5:1‐14)

七つの巻き物の封印を解く

第4ピボット(6:1‐17)

使徒時代:紀元30~100(6:1,6:2)=第一時代

迫害時代:1世紀~4世紀(6:3,6:4)=第二時代

国家時代:4世紀~5世紀(6:5,6:6)=第三時代

暗黒時代:6世紀~15世紀(6:7,6:8)=第四時代

改革時代:16世紀~17世紀(6:9,6:10‐11)=第五時代

宣教時代:18世紀~19世紀(6:12,6:13‐17)=第六時代

ホロコースト:1933からの“12”年(7:1‐17) *決定的な根拠

「第七の封印が説かれ(その裁きまで)半時間ほどの静けさがあった」

背教時代:現代(10:1‐6,10:7‐11)=第七時代

第5ピボット(8:1‐9:21,10:1‐11:19)

第一時代に訪れた御使い(8:7)

第二時代に訪れた御使い(8:8,8:9)

第三時代に訪れた御使い(8:10,8:11)

第四時代に訪れた御使い(8:12,8:13)

第五時代に訪れた御使い(9:1,9:2‐12)

第六時代に訪れた御使い(9:13,9:14‐21)

御使いの準備(10:1‐11)

・二人の証人(11:1‐14)

※我々は、この人物や後述の権力者を見抜く必要がある

第七時代に訪れる御使い(11:15,11:16‐19)

※未来形=今は第七時代の艱難が迫っている状況である

第6ピボット(12:1‐18)

太陽の妊婦(12:1,12:2)

再臨の準備(12:2‐6) ※この出来事を要確認

天の戦い(12:7‐8)

地に降るサタン(12:9‐18)

第7ピボット(13:1‐18)

来る獣の特徴(13:2‐5,13:6‐17,13:18)

※42(6×7)ヶ月,666(6/6/6?)

第8ピボット(14:1-20)

山の上に立つキリスト(14:1)

第一時代の御使いの言葉(14:6,14:7)

第二時代の御使いの言葉(14:8)

第三時代の御使いの言葉(14:9,14:10-13)

第四時代の御使いの言葉(※)

第五時代の御使いの言葉(※)

第六時代の御使いの言葉(※)

※→順番およびキリストの役割に歴史適用の余地あり

第9ピボット(15:1-5,15:6-8)

最後の七つの準備

第10ピボット(16:1-21)

第一時代の裁き(16:2)

第二時代の裁き(16:3)

第三時代の裁き(16:4-7)

第四時代の裁き(16:8-9)

第五時代の裁き(16:10-11)

第六時代の裁き(16:12-15)

第七時代に迫る裁き=ハルマゲドン(16:16,16:17-21) *この理論の主旨

第11ピボット(17:1-18)

最後の戦い=大淫婦の裁き

第12ピボット(18:1-20:15)

大バビロンの崩壊(18:1-24)

勝利の讃歌(19:1-10)

キリストの到来(19:11-21)

千年王国と白い御座の裁き(20:1-15)

神の国

新天新地(21:1-22:5)

オメガ(22:6-13) *Ωピボット

希望を込めた注意喚起(22:14-20)

あいさつ(22:21)

→驚くべきことに、序,第1~12ピボット,神の国,その内訳.の“(該当聖句)”について、暗転,七つの患難,天のようす,地のようす,ヨハネの証言.を五色で塗り分けることで、注解の細かく複雑な説明がなくても『ヨハネの黙示録』の全体像がクリアに見えてくる。

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