1.命題証明集

存在の比重。

A:「人間が確実に把持し得ることは、知覚と思考である」

たとえば、

A2:「形相が存在するか否かは確かでない」

が、

A2*:「形相が知覚の対象である」

ことは明らかであり、

逆に、

A3:「知覚がなければ、形相は存在し得ない」

あるいは、

A3*:「知覚がなければ、形相が存在しても意味がない」

のである。

そして、

B:「知覚は思考の対象である」

ことは明らかで、

命題A3*の導出過程と同様の流れで、

B*:「思考しなければ、知覚が存在しても意味がない」

と言える。

つまり、

C:「形相は知覚の対象であり、知覚は思考の対象である」

といえ、

D:「被対象は、存在の意義を付与者に依存する」

からして、

その存在比重は、

C*:「思考が知覚より重く、知覚が形相より重い」

(C*※:形相→知覚→思考、形相<知覚<思考)

ここで、

命題C*を言い換え(命題A3*およびB*をまとめ)れば、

C**:「思考しなければ、知覚に意味はなく、形相は存在しないのと同義である」

と述べることができよう。

ここで、

E1:「形相を持たずとも、思考できるものは存在する」

ということはあり得る。

(E※:空気に顕著であろう)

E2:「知覚できずとも、思考できるものは存在する」

(E2※:空想することは可能である)

しかし、

E3:「形相を持たずとも知覚できる、というものは存在しない」

よって、

F:「知覚は必ず形相に依拠する」

が、

F*:「思考は、形相と知覚に依拠するとは限らない」

であろう。

このことは、

命題C*およびDが、

F**:「付与者は、被対象より存在比重が重く、より独立性が担保される」

ことを表すのを明らかにしている。

ということは、

逆に、

F***:「独立性が高いものほど、存在比重が重い」

ということになり、

G:「存在比重が重いとは、その存在の確かさに等しい」

ゆえ、

F****:「独立性が高いものほど、確実に存在する」

と言える。

さて、

H:「神とは、あらゆる権限を持ち、最も独立性が高い存在者である」

そして、

H2:「最も強い“付与者”である」

このことから、

∴「神が存在することは、最も確実なことである」

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