A:「人間は、言語的な思考をする存在である」
このことが真であるならば、
A*:「人間のうちに言語的な思考を可能にする部位がある」
ことが導出される。
ここで、
B:「思考を司るのは脳である」
ことは偽ではない。
そうだとすれば、
命題A及び命題Bから、
C:「人間とは、脳である」
ということが導かれる。
しかし、それは誤りである。
なぜなら、
C2:「人間存在が脳であるならば、身体の形相は不要である」
からである。
ただ一方で、
D:「“名付け”が言語的思考を可能にする」
ことから、
D2:「身体の形相が異なることが名付けを可能にしている」
という追跡ができる。
よって、
命題C2は、偽であり、真ではない。
というのも、
命題CおよびD2の導出過程から、
E:「脳と身体的な形相は同時に存在しなくてはならない」
ことが明らかだからである。
このことは、
命題C2が真ではない理由を表す。
なぜなら、
C2*:「脳そのものが明らかに形相を持っている」
からである。
よって、
命題Eで言うところの
E*:「“身体的な形相”は、存在の絶対条件ではない」
ことが確かであろう。
しかしながら、
E**:「身体的な形相が存在することは明らかである」
ということは、
F:「脳は、それ自体が“身体的な形相”から区別される」
という命題が成立しなくてはおかしい。
よって、
F*:「脳の本質は、形相には存在しない」
はずであり、
このことは、命題C2およびC2*の導出過程から明らかである。
よって、
命題Aが真であるならば、
命題F*から、
F**:「人間は、何某かの非物質的な側面を保有する」
と言える。
よって、
∴「人間のうちに“非物質的なもの”として定義される“魂”は存在する」