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赤い十字
「十字架ならざる苦しみ」 目を覚ますと、狭い部屋に置かれたベッドに横たわっていました。状況が飲み込めず「とりあえず起きあがろう」と考えた私ですが、身動きが取れません。首をかがめると、手足と胴体が頑丈な ...
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ラビリンス
「王の権威を夢見て」 勉強部屋に戻ると、「ここに、今後のヒントがある」と『七星の拳』を読み進めます。そこで、驚くべきものを目にします。物語の後半に成長して再登場したキャラクターの姿が、かの少女にそっく ...
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狂気
「整っていく御国の建設計画」 自宅に着くと、すぐさま勉強部屋に向かい、待ち切れぬとばかりに図録を開きます。写真をみて、展示物を思い出しながら、あらためて細かい説明文を読みます。すべての物事を都合よく結 ...
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ヘラクレス
「悪霊の霊的な阻み」 翌朝、起きると、「洗脳が解けてから家に籠もりきりであることが、よく作用していない」と考えた父が「今日は、美術館に行ってみないか?」と誘いました。家族がどのような選択をしてくれたと ...
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幻影
「隔離へ向かってゆく」 奴らから「今度、教会に行こう」と誘われていた私。もし、その通りになっていたら、いよいよ取り込まれていたかもしれません。 サタンが云々と語っていた奴ら自身が、その使い魔だったと知 ...
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悪
「バアルの接近」 アメフト部の引退。それは、大学受験に本格的に向かうことを意味していました。主務をしながら自主トレもして、苦悶することもたくさんあった私は、何の束縛もなく受験勉強を始める周りのクラスメ ...
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葛藤
「辛うじて生きる私」 一度、自宅へ帰った私ですが、通学路は通勤ラッシュにどうしても重なってしまうことがあり、高校までいくらか近い祖母宅からしばらく通うことになりました。学校のスポーツ保険が降りたので、 ...
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青い紐
「絶頂からの転落」 全国高校アメリカンフットボール秋季東京大会の前日は、J高校の体育祭でした。これといった準備はほとんどなく、三日前あたりから少々予行をした程度です。この高校で体育祭は、大したイベント ...
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イデア
「引き金はバテ・シェバ」 その日、いつもの大きな連絡駅で高校の最寄へ向かう電車に乗り換えて、空いている席に座っていた時でした。 下を向いて参考書を読んでいた私は、後列の車両からコツコツと歩く音を聞いて ...